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ドンナ・マサヨの悪魔 [本 & 書評]





村田喜代子 著 / 文藝春秋



赤ん坊は謎だ! 「おれは長い旅をしてきた者だ」娘の体内から 不気味な声が 語りかけてくる。声の主は いったい何者なのか? 生命誕生の神秘に迫る 傑作長篇。


いつだったかの 週刊ブックレビューをみていて、宇宙服のようなのを
身にまとった 赤ちゃんの装丁に、惹かれて 読みたくなったのだった。




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『 ノルウェイの森 』 [本 & 書評]




村上春樹 著 / 講談社文庫

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『 初夜 』 [本 & 書評]




イアン・マキューアン 著 / 村松潔 訳,新潮クレストブックス

原題 『 On Chesil Beach

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タグ:初夜

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『 夢小説 』 [本 & 書評]



シュニッツラー著 / 池内紀 訳 ,岩波文庫

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タグ:夢小説

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亀鳴くや [本 & 書評]



川上さんの 『 溺レる 』の中に

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『 鍵のかかった部屋 』 [本 & 書評]



ポール・オースター 著 / 柴田元幸 訳 ,白水社





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金魚のC子 [本 & 書評]



田紳有楽 』 / 藤枝 静男 著

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タグ:田紳有楽

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 [本 & 書評]






色川武大 著 / 『 怪しい来客簿 』 より、 をよむ。


亡くなった叔父が、頻々と私のところを訪ねてくるようになった。
父のところではなく 私のところにだ。

こう 始まる、類縁に まつわる話し。

自分が、今 此処に 存在していることを、かんがえた。


家系図うんぬん など 関係なく、遡ってゆけば、当然 そこには
人々が 存在 し続けてきた。

そこに在った という、そういう 事実の上に、自分という人間が
いるのだな と改めて想った。


たまに、ワタシという人は、何処からか ひとりでに、ひょっこり
現れたのでは ないだろうか(?_?) 、なんて思ったりする。

街行く 人々の中にも、多少なりとも、そんな風に 思う 瞬間て
あるのではないかと、密かに、想像しているのですが(笑。

ときどき、ぽつねんと孤独を 感じると、そんな風に ゆらゆら と
した 思いに、浮いていることもある。 あは。



『 墓 』 についてですが

笑わそうと しているのでは、ないのだろう けれども、ふふふ と
笑みを 誘われる 描写も、あったりしました。

(強い情で、繋がっているという 訳では、ないようだけれども)
叔父さんと 主人公の 関係性が、なんだか 好ましかった。


ほう なるほどね、と思った 箇所があったので、引用しました。

家系図というものが 私の家にもあって、父の説明を ききながら 私も一、二度のぞいて見た 記憶がある。 大体において くだらぬもので、人間が 木の股から生まれない以上、系図の有無に かかわらず、どこの誰だろうと 祖先の猿まで ひとしくつながるものであろう。


途中でどんな人物が居たかは 実はたいして 重要ではない。 要は続き具合で、生き死にを くりかえしながら とにかく私どもも 続いているンですよ、びっしりと存在してきたので、したがって 私も ここに居るンです、そういうことが いえるというのが 大きな慰めになる。


系図などなくても 同じことだと思うのは、だから 小生意気というもので、たとえ幽霊だろうと 現われてくれるに 越したことはない。在る という方向を一心に信じ、不注意を おかさずに、手早く 一生を 終ってしまえばよろしい。



忘れた頃に、何だか、また 読みたくなりそうな 気がします。











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眠り [本 & 書評]






村上春樹 著 / 『 TVピープル 』 収載



有名な作家さんなので、何か一つでも読みたいなと、思いつつも
作品数が多くて、何から入ればいいのか 迷っていた。


たまたま 書店で見かけた、短編集を 数冊手にとり、『 眠り 』で、
初めて 村上さんの本を 読むことになった。

      
        ・・・・・・・・・・・・・・・・・

紹介文
17日間一睡もできず、さらに目が冴えている女。



(多くのレビューからの印象で)
村上さんの 文章の雰囲気は、わたしの中で、かってにイメージが
広がっていて、読んでみると かるく拍子抜けした。

そりゃ、いくら突飛なものを書くにしても、文法がありますもんね(笑。


しかし、文字を目で追っていくうちに、「ん?何だろう このかんじ」
誰かの文章によく似ているな、と思った。

でも、その誰かが、誰なのかはよく分からない。

影響を受けた 作家さんも、多いとのことなので、リズムが 似てたり
するだけの事 なのかも。
    
       

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


『眠り』 の感想に戻りますが、


主人公の女性は、自分の現実を 否定したくなかったのでしょうか。
だから、無意識的に、眠ることを拒んだのだろうか…。


興味深い、記述がありました。長いので要約しますと、


《 人間は、一定の個人的傾向から 逃れることはできず、その傾向は
よほどのことがない限り、二度と消えない。人は、その傾向という檻に
閉じ込められて生きている。

眠りこそが、そのような傾向のかたよりを 中和する。つまり、眠りが
そのかたよりを調整し、治癒するのだ。 》


図書館で、眠りに関する本を読んだ主人公は、こうかんじます。

じゃあ、私の人生というものは いったい何なのだ? 私は傾向的に消費され、それを治癒するために眠る。 私の人生はそれの繰り返しに 過ぎないんじゃないか? どこにも行かないんじゃないか? (略) 眠りなんか必要ない、と私は思った。 



この文が とても印象的で、特に、どこにも行けない、という発想が
おもしろいな。

治癒か…。たしかに、何かがリセットされるような気になりますし、
考えすぎて疲弊したら まずは眠ろう、と思うので 納得。


結末の描写や、終わり方が ちょっとこわいです。

車は、からだ や思考の比喩として捉えたので、それに閉じ込められて
泣いている女性の気持ちに、共感できた。

女性が乗っている車を、揺さぶり続ける、二つの黒い影(男)は、何を
意味しているのだろうか。 それは、夫と息子 なのだろうか。


たまに考える。
もし、人の生きる仕組みに、睡眠がなかったら と。 とにかく、ゾッとする。  

でも、人生の三分の一 の時間は、眠っていると知った時、それはそれで
かるく 委縮するような 気持ちになった。









タグ:眠り

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愛の続き [本 & 書評]





原題〈ENDURING LOVE〉 イアン・マキューアン 著

小山太一 訳 / 新潮文庫



紹介文

科学ジャーナリストの 「ぼく」は、英文学者の恋人と ピクニックにでかけ、気球の事故に 遭遇する。 一人の男が墜落死し、その現場で「ぼく」は 奇妙な青年パリーに出会う。 事件後のある夜、パリーが電話をしてくる。 「あなたはぼくを愛している」と。 それから彼は 「ぼく」に執拗に つきまとい始める。狂気と妄想が 織りなす奇妙で 不思議な愛のかたち を描いた、ブッカー賞作家の 最高傑作。




この本は(巻末の付録を含めて)、ド・クレランボー症候群について
知ることが できました。
 
付録にある内容は 多岐にわたり、要約しずらいので、どういった
症状なのかを、付録より 一部抜粋します。



純粋症例における 発症前の人格を 多数調査した結果、マレンとパセは要約として 「他人から孤立した、社会に適応できない人格。 その原因は、感受性の強さ、疑い深さ、傲慢さなど。 そうした人間は 社会的に空洞の生活を 送っているとして よい場合が多い(・・・・) 人間との関係を 一方で求めつつ、性的・感情的に拒絶されること・親密になることを 怖れている」 としている。



P(実際の発症者)は 別の人間R(被害者)と 愛を交わしているという 妄想的確信を抱いており、先に恋に落ちて 恋を仕掛けてきたのは Rであるとしている。 発症は突然である。 PはRの 敵対的な行動に 理由づけができ、症状は長期にわたっている。 Pには幻覚や 知覚欠陥はない。



そして、ストーキング等の 迷惑行為、最悪の場合、その 怒りの矛先は
暴力や 殺人事件などに、向うこともあるようです。

当人には、(対象者へ)想いを抱く、明確な きっかけがあるのでしょうか。
読後 説明をみても、そうした理由さえ、不明確なのでは? と考えた。

なので、謎めいていて、ただゝ何故なのか、と疑問にかんじました。


ストーリーは、実際の症例に基づいたものだったようで、"ノンフィクション
を元に 構成された フィクションです" といった、分かりづらい 説明文が
当てはまる 内容です。
 
小説の形式をとっていますが、一つの事件の背景としても、捉えられる
ような 気がする。(でも、付録自体も 『小説の一部』、かもしれない)

小説についてですが、ストーリー性があり、場面変化も多くて、映画で
よくありそうな 雰囲気と、似ているな と思った。


ド・クレランボー症候群とは、何も考えず愛に我が身をゆだねることが 正気であるような 明るい恋人たちの世界を映し出し パロディ化する 暗い歪んだ鏡なのだ。


という文が あるのですが、著者の この見解に対し、惹きつけられ
それについて、しばらく考えていた。

『 何も考えずに 愛に我が身を ゆだねることが 正気であるような 』

という表現ですが、これドキっとします。 愛はときに 狂気になるし、
愛の種類の奥行きは、かなり深い。


恐怖が 入り混じってきたら、すでに 愛のカテゴリーから、漏れている
ように 思いますが、そういった
"愛" について、色々と 思いを 廻らせられる本では、ないでしょうか。
 

"無償の愛" という言葉が わざわざあるという事は、"愛" 一文字には
その 狂気めいた思いも、含まれていたりして。
それはさておき、文字にすると、なんて味気ない 言葉なんだろ。


主人公 ジョーの職業は、科学ジャーナリトです。

得体も知れず 根拠もみあたらない、強力な妄想愛の反対に 位置する
根拠や 証明のある、『科学』という存在。

それを だす事によって、両者が、くっきりと 浮き彫りにされているように
思えた。 その対比が、印象を、より つよくしているのかも。


心を、科学で 解き明かそうとしている 心理学には、なんだか不思議な
矛盾を 感じますが、それは、まだまだ 発展途上の 学問だそうですね。

(矛盾というか、最も 複雑多様で、実態すら捉えられない心を、
科学的に、系統立てていこう としている事に対して)



エジソンが、目には見えない音を 捉えようとした様に、心理学にも
そういった 出発点があったから、学問として、着々と基盤を 固めつつ
あるのでしょうね。

心も、結局は、脳科学の領域に なるのか? 分からなくなってきた…。


原作の映画化 『Jの悲劇』は、俳優さんの演技を 観たいです。










タグ:愛の続き

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