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『 ノルウェイの森 』 [本 & 書評]




村上春樹 著 / 講談社文庫

百聞は一見(一読)にしかずで、レビューからだけでは 分からない
様々な 雰囲気が伝わってきたので、これを機に 読めてよかった。

多くのレビューを 目にしていたので、大まかな展開は 知っていた。

俗っぽいところもあったが、文字だからこそ広がる 叙情的な世界や
きれいな比喩 表現に、小説を 読んでいるという 安心感もあった。


登場人物が多く、その人々の様々な想いも内包されていて、それらが
わたしの 頭の中で ひしめき合い、すぐに 感想を まとめられない。

内容は 未読なので分からないが、『 若者はみな悲しい 』という
フィッツジェラルドの 本の題名を 想い浮かべた。


小川さんは、村上さんの本も お好きなようなので、もちろん影響なりを
受けているのでしょう、ところどころの 比喩表現がどことなしか似ていて
(あべこべですが)懐かしいというか、ほっとする気もちになったりした。

男性が紡ぐ言葉としては、女性的というのが 正しいのかどうなのか
分からないが、美しい表現をする方なのだなと、ふと思う 瞬間もあった。


レイコさんとの 最後の別れの場面で、たまたま テレビから流れてきた
せつなさを かきたてるような やわらかな旋律が、行間に重なってきて
涙が うっすらと 眼球を覆った。


人の内面に、いちいち 関心を 抱こうとは思っていないが、ハツミさんの
後のことを 考えると、永沢さん という人物に ひっかかりを 感じる。
そして、どっちでもいいと 思う。

それこそ、彼に対して、上巻の冒頭にある 深い井戸を 思い出す。


いつか映画も 観てみたいと思うが、きっと、この本を 再読することは
ないだろう。






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