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亀鳴くや [本 & 書評]



川上さんの 『 溺レる 』の中に

亀が鳴く という一編がある。

その話しと、類似している訳 ではないが、百閒の随筆に
似たタイトルがある ということを、先日 ネットで知った。

私の「漱石」と「龍之介」 』
内田白閒 著,ちくま文庫 より。それが、亀鳴くや である。

芥川君が自殺した夏は 大変な暑さで、それが何日も続き、息が出来ない様であった。 余り暑いので 死んでしまったのだと 考え、又 それでいいのだと思った。 原因や理由が いろいろあっても、それはそれで、矢っ張り非常な 暑さであったから、芥川は 死んでしまった。


百閒は、夏目漱石の 弟子で、同門には、芥川龍之介 がいた。

日本の、名だたる 文豪たちが、身近で 息をしているかのようで
なかなか 貴重な本だろうな。

亀鳴くや の項だけを 先にみたので、百閒の目を 通してみた
漱石や 芥川の人柄は、まだ よく分からない。

しかし、同門であった 百閒の気持ちは、上記にある抑えた文章に
より、かえって 悲しみがよく伝わってくる ようである。

芥川氏といえば、私の中では、芥川賞で お馴染み、くらいの知識
しか なく、鼻、蜘蛛の糸 は知っているが、その他は 作品名は
知っていても読んだことが ない…という ほど。

お金のない百閒に、帰りの電車賃を あげる時の、芥川の行為は
ユーモアと ジェントリィ さを感じた。


今年の夏も、たいへん暑い。
ほんとうに日々 暑いうえに、真夜中まで暑い。

ニュースは、もうしょ もうしょと くり返し伝え、それを
聞き続けるいいかげん もう うんざり。

そんな 時候だから、暑さの為 という 百閒のことばが、強烈な
蝉の鳴き声のように、胸の奥にとどき、じぃーじぃと響いている。


やっぱり、非常な暑さである。





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