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夜と コーヒーカップ [本 & 書評]



エドワード・ホッパー 『 自動販売機 』  1927年   

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(本のほうは、もっと ブラウン系なのだが)

画集の中で、妙に惹かれたのが この一枚。


本の文を 引用すると、彼女のうつろな落ち着き とある。

うつろには、空ろ / 虚ろ という 漢字があり、中身が空洞のような状態と
心が虚脱状態で、生気がないような… という意があるが、彼女の姿には
その両方を 見てとれる気がした。

この絵のもつ、他者を寄せつける隙のない ような、寂寞とうつろさ。

けれども、絶対的な その空間を 崩してはいけないと思わせるような
全体から 放たれている、どこか ドライな 張り。

それが、落ち着き という言葉に 集約されているのかもしれない。

ガラスに、奥の方へ向かい 一列に連なって反射した、電灯が描かれている。
その遠近法により、奥行きが表されているが、それは 見せかけでしかないと
説明にはある。

窓ガラスは 単に食堂の幾何学的な形態を 強調してみせているだけであり、女をさながら ガラスの家のように取り囲んでいる。


この電灯の連なりが あることで、手前の女性に 焦点がさだまるような効果
があると思うので、絵の構図というのは 興味ぶかい。

容姿や雰囲気が というのではなく、自分の中の何かが 描かれているようで
すうっと 惹きこまれてしまう。


きっと 私のこころは、がらんどう なのかもしれない…。






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