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カポーティの 描くもの [海外作家]



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探していたものが、ひょんなとこから 出てくる時って
ありますよね(・ω・)

何度も そこを チェックして、ずっと 無かったはずなのに…
という ふしぎなアレ。


(翻訳ものだから 何ともいえないけど…)


描写の 興味ぶかさ、比喩の素晴らしさ そういうものから
カポーティの作品に惹かれ、また 読みたくなったのに、一向に
見つけられなかった、この本。


『 夜の樹 』 / カポーティ著 ,新潮文庫

この 表題作からの、抜粋。

氷のような冬の月が、白く薄い車輪のように 夜空を横切って 汽車の上をころがっていく。

車窓から 見える景色が、さっと イメージにでてくるな。
(夜の樹、の感想は またいずれとして)

訳者の、カポーティの世界についての解説が、とても明確だと思い
下記に抜粋した。

私が その雰囲気や 世界観に惹かれたのは、小川さんの世界に 通じる
ところがあるからだろう。

小川さんは、村上春樹さんから 影響を受けた部分も、多いだろうし

その村上さんは きっと、カポーティからも 影響を 受けただろうし。
(そういう記述、確か どこかにありますよね)


そして、その系譜に 導かれるようにして
(とはいえ、小川さんの エッセイから、米作家を 多く知ったのだが)
私が カポーティに 辿り着いたことが おもしろい。

たいがい、そういうもの かもしれないけど。


他の作家さんを よく知らないが、他にも 影響を受けて、作風が
どことなしか 似ている方も、多く いらっしゃるのでしょうかね。

カポーティの短編は、暗く、冷たく、内向的なものが多い。狂気、無意識の闇、生きる恐れ、都市の 疎外感、オブセッション(妄執)といった 人間の心の 負の部分にこだわる。

孤独癖の強い人間が見る 白昼夢のような、現実とも夢ともつかない 淡い幻影の 作品が多い。ときには病的ですらある。

カポーティは、外部社会の現実に 向かうというより、自分の 心の中の秘密の部屋へと ゆっくりと降りて行こうとする。その点で たとえば男性的な ヘミングウェイの世界とはまるで違う。


小川さんは、時に 冷やかな描写もあるが、そこに 独自の秀美さを
表出していていると 思うし、作品によっては

温かさ もあり、読後感に 暗さばかりを 感じるわけでもないので
カポーティよりも 、読みやすいかもしれない。

カポーティと 小川さんの作風が、どこか通じているのは
そこにしか 存在していない 空間というか、上記にあるように

淡い幻影 のような、そういう 独特の世界に ふれられるところ
であろう。それが魅力的なので、時々 私も 迷い込みたくなる。

しばらくぶりに 見つかったので、収録されているのを 読み
カポーティの世界に

ゆっくりと 降りて行ってみたい と思う(゜.゜)




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