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『 無頭の鷹 』 [海外作家]



カポーティ 著 / 新潮文庫

短編集 『 夜の樹 』の中で、もっとも 気になるタイトルが これだった。

画廊で働く ヴィンセントのもとへ、ふしぎな 雰囲気の女性が、奇妙な絵を
持ってきて、ヴィンセントはその絵にも 女性にも 魅了されてゆく 話し。

文章を 抜粋したりして、感想らしいものを 書きたかったが、今はムリだなぁと。


夜の樹、ミリアム、夢を売る女(忘れているので、再読しよう) を 読み、それらの
世界をつつむ 冷たさや孤独の描写が、切れ味鋭くて それこそ クールだと思った。

(クール という表現を ふだん使わないが、これが いちばん しっくりくる気がする)

けれども、『 無頭の鷹 』は そういうことだけで 括れないと感じたし、何より、私は
(うまく 説明できないが) この物語を 思い出すと、とても重苦しい 気もちになる。

それが、なんなのか分かるのには、 もう少し時間が 必要だろうな。

しかし、ヴィンセントの夢の中の(?)描写や、その他の部分でも、色彩の 乱舞かと
思うほど、それは それは鮮やで濃いものを感じ、圧倒された。すごい パワーだ。

(明るい作品も あるそうだが)

カポーティが描く 暗の世界は、洗練されている 冷やかさが クールだ、なんていう
単純な印象で、物語世界からうける 刺激を 求めていた自分に、奇妙な絵の中の
住人たちから、いっせいに にやりと 不気味な笑みを 向けられたような気がした。


今 すきま風に、からだが ぶるっと震えた。




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