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その実 [K.H]



今、読み途中の本について。





ニシノユキヒコの恋と冒険 』 / 川上弘美 著

紹介文より

ニシノくん、幸彦、西野君、ユキヒコ…。姿よしセックスよし。 女には一も二もなく優しく、懲りることを知らない。 だけど最後には必ず去られてしまう。 とめどないこの世に 真実の愛を 探してさまよった、男一匹ニシノユキヒコの 恋とかなしみの道行きを、交情あった十人の女が思い語る。 はてしなくしょうもない ニシノの生きようが、切なく胸にせまる 傑作連作集。



(上記は、合ってるけど、ちょっとしっくりこない)


色んな 女性の視点から、『西野幸彦』という人物が 描かれているので
読む人によって、感触が さまざまに、変わるのではないでしょうか。

私は、想像してみても、ニシノくん という輪郭を 掴めずにいて、その実
存在すらしていないような 気さえしてきた。
そして その存在している うんぬんは、さしたる意味も、持たないような。

(乳児を亡くした お姉さん。そして、その姉に 対する想いや、過去も
書かれているが)

それよりも、彼 を語る、一人一人の女性達の方が、くっきりとした輪郭を
もち、印象深く残る。

人は、対する相手によって 様々な顔を もっているんだよな、と改めて 思う。
様々に 対応している その人も、根底には一貫した性格が あるにせよ
対する誰かに 色々な 感じられ方を されている。 もう、そこまでは、自分
でも分からない領域ですね。

有る部分を 好いてくれる人、それこそが 厭な部分と、拒絶する人。一個人
なのに、すでに多面的。 それは、面白くもあり、何だか 不安 要素でもある。

まだ、もう少しあるので、また書くとします。

それにしても、一様に皆、ニシノくんのことを 可哀相だと言う。
カワイソウ、かわいそう。その言葉が、わたしの頭の中を ぐるぐる巡る。

真から愛することを、永遠に出来ない人は、じゃあどうすれば いいのだろう。
薄ぼんやりと、ニシノくんのことを 考えてみる。

前に『 さよならみどりちゃん 』を観て、うっすら涙がでた。
(タカシ?は)どうして、そこまで感情が摩耗しているのか。何があったのか
逆に人物の 奥底を 知りたくなった。

かわいそう、というよりも、なぜそこまで…という 悲しさが 迫ってきた。

その感触と近いのかな。





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