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『 風花 』 [K.H]



川上弘美 著 ╱ 集英社








紹介文より

夫に恋人がいた。離婚をほのめかされた。 わたしは いったい、どう、したいんだろう―。 夫婦の間に立ちこめる、微妙なざわめき。 途方に暮れながらも 自分と向き合い、夫と向き合い 少しずつ前へ進みはじめた、のゆり、33歳の物語。



風花 〉 1. 風上から、風に吹かれて飛んでくる積雪。

2. 晴れた日、風の吹き出す前などに 舞うように降る粉雪。


タイトルである、"風花"という ことばの意味を知らなかった。この漢字も
意味も とても きれいな表現なんですね。

2番目の意味の、" 舞うように降る粉雪 "というのを 想像すると、雪を見ている
のに、心の中に ぽうっと 小さな灯がつきそうで、なんだか温かい気持ちになる
だろうな。



私は、のゆり のタイプとは真逆の性格だろうな。もやもやする 事があれば
自分が 納得するまで、何度でも 相手の意見をききたいし、大いに話し合いも
したい。 相手にとったら、面倒くさい相手だと思う。。

口があるし(災いの元 だったりもするが…)
人間には、言葉という 意思疎通手段もあるのだから、それを活用したい。でも
言葉が全てでは無いことも、十分に りかいできるし " 言葉にならない気持ち "
だったり、それは誰しもが持つ もどかしさでしょうか。

自分と真逆のタイプだからといって、 のゆり の言動に いらいらしたり
しなかった。身近に、のゆりと 同じタイプの人がいるので、のゆり とその人を
重ねて、読んだり。

対人関係で受ける様々なことに対する、感情の反応が遅いとか、話し合うに
しても、どう切り出すべきか 分からず 途方にくれたり、誤解を招く くらいなら
口を つぐんでしまおう、という気持ち。などなど。

きっと、その人の心中もこういう感じなのかな、、とふと考えたり。
すぐに 言える人よりも、感情の吹き溜りを 抱えざるおえなくて、ずっとずっと
もどかしくて 苦しいのかな…。

のゆり と卓哉は、似た者同士なのでしょうね。どちらかが、口火を切らないと
延々に 燻ぶってしまうのに、どちらもどっちつかず。相手からの、何らかの
アクションを 期待して、そのまま時間が 流れてゆく。

攻撃的タイプの人 同士だったら、それはそれで、血圧が上がる一方で 体に
悪いが(笑 でも、どっちも だんまり タイプだと、ずっと こう着状態の 冷戦
のようで、そっちの方が 私はイヤだな。

そのような内容だったが(冷戦ってわけではないが)、のゆり はゆっくりと
決断してゆく。その名の響きと、性格があっているような。

何かを決める、その判断に至るまでのペースは、人それぞれでいいと思う。
そして、相手を待てる、自分でもありたいものです。

自分の感情を 正直に見つめ、それに素直に 反応出来て、さらに 吐露出来るのは
実は すごーく、有難いことなのかもしれない。

逆説的に、そういうことを感じたりもした。


川上さんの作品を、沢山読んでみたい。どんどんページを進めたくなるのは
その独特の文体 だからでしょうか。

この本は、後半の方から 開きたくなくなり 放置していたが、読み出したら
結末へ 直行していました。






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