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これでよろしくて? [K.H]



川上弘美 著 / 中央公論新社

上原菜月は38歳。結婚生活に さしたる不満もなく 毎日を送っていたのだが…。 とある偶然から 参加することになった 女たちの不思議な集まり。 奇天烈な その会合に 面くらう一方、穏やかな日常をゆさぶる出来事に 次々と見舞われて―。 幾多の「難儀」を乗り越えて、菜月は 平穏を取り戻せるのか!? コミカルにして奥深い、川上的ガールズトーク小説。


久しぶりに、川上さんの 長編もの。 ざーぁっと 斜め読み をする。

図書館の予約待ち 件数は、けっこうな 数だったけれども、どこかで、これは
読まなくても いいかな、と 考えたりしてもいた。

感想から、いきなり 逸れてしまうのですが。

作家さんて、出版社から 依頼がきてそれを受けて、連載だったり、書き下ろし などを
執筆するのですよね。

掲載される 雑誌の雰囲気や、読者層を 大まかに 把握したりと、一つの作品 にしても
作家さんの想いだけで 自由気ままに 書く、ということは、少ないのでしょうね。

( と、全て わたしの 想像なのですが…。 )

だから、本の印象=著者の印象、という見方は 違うのだろうなと 思うようになった。



読了して、感想の 総括が「 で? 」だった。 
嫁姑、小姑、類縁者 とう、この作品の 登場人物たちの描写が、どこか中途半端。

とびきりの悪人も、半端ではない強烈な人も、親族内に 沢山いるほうが、不自然だし
日常的にも (もちろん、へんな人も多いけど) そうそう いないから、登場人物が ごく
ふつうの人々の 範疇であるのは、わかりますが…。

わたしの家は、祖母との 同居だったので、母と 祖母は 嫁姑の関わりが こかった。
それに 付随する、類縁者らとの ごたごた。 母の 暴風雨の如し 叫びみたいなのを
わたしは、からだに びしびし感じて、育った。

わたしの親戚は、まるで 魑魅魍魎の集まりだったので、この本 読んでいて、途中で
「てか、こんなもんじゃないっ」と 思った。まわりに、強烈な人が 多すぎたのでしょう。

そういう身に置かれた者からすると、この本に 対しての感想は、どうにも 素っ気ない
ものに なってしまう気がする。 だから なんだい、と。

(だから、公平性・? のない 感想になってしまいますね。酷評しているわけではなく)

日常の 仔細なことや 些細な想いを、一冊の本にする というのは、すごいこと だと
思うし、連載という 長期スパンで、登場人物と (執筆という作業で) 共に過ごす
ということも、大変なことだろうな と 想像できる。

(川上さん 独自の、言葉の流麗さを 感じることが、ほぼなくて 残念だった)

しかし、わたしが思ったのは、これを 読んで、誰か何かを 得るのだろうかな? 
何か、溜飲の下がる思いが するのだろうか? という ことだった。 

もし、関係性の ごたごたを、読みたい方がいるのならば、渡鬼(わたおに)を
観たほうが、よっぽど面白いと思う。 けど あれも、設定に ムリがあるが…。


この本で、155~158頁の『 肉じゃが 』 についての 記述だけが、おもしろかった。

肉じゃがは、わたしも すきですが、それに関する あれこれを、テレビとかで
耳にすると (例えば、恋を 成就させる為の一品、としての扱いとう)さすがに もう
怪訝に思う。

もちろん、肉じゃがには、本の台詞 同様、なんにも 罪は ないのだけれども。

おかずの種類は あまたあるのに、延々 何らかしらの 定石にされているのも
さすがに、気のどくに思えてくる。 それは、作り手にか、食材にか。






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